山本五十六(やまもといそろく)は、軍人としてのみならず、教育者としても優れた人物でした。彼は、部下を育成する上で重視しているポイントを残しています。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」と言うのが有名ですが、実はその後にも続きがあります。
本記事ではその全文とポイントを説明します。
- 「やってみせ」の全文
- 山本五十六の人物像
- 「やってみせ」以外の名言
山本五十六の名言「やってみせ」全文
山本五十六の名言は、全文で以下のようになっています。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
この名言は、人を育成する上での基本的な考え方を示しています。
ビジネスや教育の現場においても、この考え方を参考にすることで、より効果的な指導が可能になるでしょう。
山本五十六の「やってみせ」による、人を育てる4つのポイント
簡単に言うと、人を育てるには、以下の4つのポイントが大切です。
自らやってみせる
まずは、自分が実際にやってみせることが大切です。
そうすることで、部下や相手に具体的なイメージを持ってもらうことができ、理解を深めることができます。
また、口だけではなく実際に行動することで、リーダーとしての姿勢を見せることができます。
わかりやすく説明する
次に、わかりやすく説明することも必要です。
ただやってみせるだけでは、部下や相手が何を学んだのか、何をすべきかがわかりません。
具体的な手順やポイントを説明することで、理解を深めることができます。また、部下や相手の理解度を確認するために、質問や確認をすることも大切です。
実践する機会を与える
実際にやってみる機会を与えましょう
説明だけでは、部下や相手は実践する自信が持てません。
まずは、実際にやらせて、成功体験を積ませることが大切です。また、失敗したとしても、すぐにフォローして、再チャレンジの機会を与えることも大切です。
成果や努力を認める
最後に、成果や努力を認めることも大切です。
部下や相手は、成功することで自信を持ち、意欲的に取り組むようになります。また、頑張りを認め、感謝の気持ちを伝えることで、やる気を継続させることができます。
人は感情によってモチベーションが大きく変わるという点にも注意が必要です。
山本五十六の人物像に迫る
山本五十六は、日本の歴史において非常に重要な人物であり、大日本帝国海軍の軍人として知られています。
彼は1884年に新潟県長岡市で生まれ、父が56歳の時に生まれたことから「五十六」と名付けられました。彼の人生と業績は、軍事的な側面だけでなく、その人間性や指導力においても多くの人々に影響を与えました。
軍人としてのキャリア
山本五十六は、海軍兵学校を卒業後、日本海海戦で負傷しながらも軍人としてのキャリアを積み重ねました。
彼は特に航空戦力の重要性を早くから認識し、海軍航空隊の設立に尽力しました。1939年には連合艦隊司令長官に就任し、太平洋戦争の開戦時にはその指揮を執りました。
役職
- 海軍大学校教官 (1924年)
- 海軍航空本部長 (1930年)
- 連合艦隊司令長官 (1939年-1943年)
階級
- 最終階級: 元帥海軍大将
真珠湾攻撃とその評価
山本五十六は、1941年12月8日に行われた真珠湾攻撃の立案者として広く知られています。
この攻撃は日本側にとって大きな成功を収め、山本は国内で英雄視されました。しかし、彼自身はアメリカとの戦争に反対しており、開戦に至るまでの過程で日独伊三国軍事同盟にも反対していました。
人間性と指導力
山本五十六は、部下や同僚から非常に高い信頼を寄せられる人物でした。
彼の名言「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」は、リーダーシップや教育において今でも多くの人に引用されています。
また、彼は誠実で慈愛に満ちた性格であり、家族や友人との心温まる交流のエピソードも多く残されています。
山本五十六の経歴
山本五十六の経歴を表形式でまとめたものです。
年代 | 出来事 |
---|---|
1884年 | 新潟県長岡市で生まれる |
1901年 | 海軍兵学校に入学 |
1904年 | 日露戦争に従軍し、日本海海戦で負傷 |
1916年 | 山本家の養子となり、山本五十六と名乗る |
1919年 | アメリカに駐在し、ハーバード大学で学ぶ |
1924年 | 海軍大学校教官に就任 |
1930年 | 海軍航空本部長に就任し、航空戦力の強化に尽力 |
1939年 | 連合艦隊司令長官に就任 |
1941年 | 真珠湾攻撃を指揮 |
1943年 | ソロモン諸島上空で戦死 |
山本五十六は、特に航空戦力の重要性を認識し、その強化に尽力したことで知られています。また、真珠湾攻撃を指揮したことでも歴史に名を残しています。
やってみせ以外の山本五十六の名言について
山本五十六は、「やってみせ」以外にもいくつかの名言を残しています。
苦難を乗り越えることの大切さ
苦しいこともあるだろう。言い度い(たい)こともあるだろう。不満なこともあるだろう。腹の立つこともあるだろう。泣き度いこともあるだろう。これらをじっとこらえてゆくのが男の修行である
山本五十六のこの言葉は、人生における様々な困難や逆境に耐え忍ぶことの重要性を説いています。
人生には、苦しみ、言いたいことを我慢しなければならない状況、不満、怒り、悲しみなど、様々な試練が待ち受けています。しかし、これらの試練に感情に流されず、じっと耐え忍ぶことが、人間としての成長、すなわち「男の修行」に繋がるのだと山本五十六は述べています。
この言葉は、現代社会においても、困難から逃げずに立ち向かうことの大切さを教えてくれます。ストレスやプレッシャーに押しつぶされそうになる時、この言葉を思い出せば、困難を乗り越える勇気が湧いてくるでしょう。
才能と肩書の関係
中才は肩書によって現れ、大才は肩書を邪魔にし、小才は肩書を汚す
この言葉は、才能と肩書(地位や役職)の関係について、鋭い洞察を示しています。
中程度の才能を持つ人は、肩書きによってその才能が引き立てられることを意味します。つまり、肩書きがあることで、その人の能力がより明確に認識されるということです。
真に優れた才能を持つ「大才」は、肩書に頼る必要はなく、むしろ肩書にとらわれず自由に活動することで、その才能を最大限に発揮します。ときには肩書きが邪魔になることさえあります。
一方、「小才」、つまり才能に乏しい人は、肩書を得てもその地位にふさわしい働きができず、結果として肩書そのものの価値を貶めてしまいます。
この言葉は、肩書に振り回されず、真の実力を磨くことの重要性を教えてくれます。肩書ではなく、あなた自身の能力や実績が、あなたの真価を証明するのです。
山本五十六の言葉は、時代を超えて現代社会を生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれます。困難に立ち向かう強さ、そして肩書に惑わされず真の実力を追求する姿勢を、これらの名言から学び取ることができるでしょう。