WhとmAhの基礎知識と変換ツール

近年、スマートフォンやノートパソコン、タブレットなど、私たちの生活に欠かせないモバイル機器が増えていま。

これらの機器を外出先でも安心して使えるように、モバイルバッテリーは必須アイテムと言えるでしょう。しかし、モバイルバッテリーを選ぶ際に、「Wh」や「mAh」といった単位を目にすることはありませんか？

これらの単位は、バッテリーの容量を表すものですが、一体どのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、WhとmAhの概要、それぞれの変換方法、そして具体的な使用シーンについて詳しく解説します。

Wh（ワットアワー）、mAh（ミリアンペアアワー）とは？

WhとmAhは、どちらもバッテリーの容量を表す単位です。

Whはエネルギー量に焦点を当てているのに対し、mAhは電流の量に焦点を当てています。

Whは、バッテリーに蓄えられているエネルギー量を表す単位です。

1Whは、1W（ワット）の電力を1時間供給できるエネルギー量に相当します。つまり、Whの値が大きいほど、バッテリーは多くの電力を供給できる、または長時間電力を供給し続けることができます。

例えば、50Whのバッテリーは、10Wの機器を5時間、または5Wの機器を10時間使用することができます（理論上）。

mAhは、バッテリーの容量を表すもう一つの単位です。

1mAhは、1mA（ミリアンペア）の電流を1時間流せる容量に相当します。mAhは、主にバッテリーがどれだけの電流を供給できるかを示すために使用されます。

WhとmAhは、以下の式で変換することができます。

Wh = V（ボルト） x mAh（アンペアアワー）/ 1000

ここででてくるVはバッテリーの電圧です。

一般的なモバイルバッテリーの電圧は3.7Vなので、mAhからWhへの変換は次のようになります。

Wh = 3.7 x mAh / 1000

例えば、3.7V・10000mAhのバッテリーは、37Whに相当します。

WhとmAhは、以下のようなシーンで使われます。

タブレットやノートPCのバッテリー容量はWh表示が一般的になってきています。

mAh表示だけでは機種間のバッテリー性能を正しく比較できませんが、Wh表示なら電圧の違いを考慮した、真のバッテリー容量を比較できます。

記載例

飛行機のリチウムイオン電池がmAhではなくWhで規制されている理由は、安全性の確保にあります。

リチウムイオン電池の電圧は、種類や製品によって異なります。mAh表示だけでは、電圧の違いを考慮できず、正確なエネルギー量を把握できません。

Wh表示であれば、電圧の違いを考慮したエネルギー量を把握できるため、安全性の評価に適しています。

スマートフォンやモバイルバッテリーではmAh表示が主流です。

これは主に以下の理由によります。

mAhはバッテリーの電流容量を表すため、スマートフォンなどを何回充電できるかの目安を直感的に把握しやすいです。多くの消費者にとって、WhよりもmAhの方が馴染みがあり、理解しやすい単位と言えます。

同じ電圧であれば、mAhの数値が大きいほどバッテリー容量も大きいため、製品間の比較が容易です。Whは電圧も考慮する必要があるため、一般消費者には少し複雑に感じられるかもしれません。

mAhは数値が大きくなる傾向があり、消費者に容量の大きさをアピールしやすいというマーケティング的な側面もあります。Wh表示では、数値が小さくなり、インパクトに欠ける可能性があります。

スマートフォンやモバイルバッテリーの電圧は一般的に3.7V程度です（パソコンは7Vや10Vなどもあります）。

電圧がほぼ統一されているため、mAh表示だけでもバッテリー容量をある程度把握できます。電圧が統一されている製品では、Whでの表記は必ずしも必要ではありません。

モバイルバッテリーを選ぶ際には、WhとmAhのどちらを重視すべきでしょうか？基本的には、Whを重視することをおすすめします。Whは、バッテリーが実際に供給できるエネルギー量を表すため、機器の使用時間により直結するからです。

一方、mAhは、バッテリーが供給できる電流の量を表します。これは、機器を充電する速度に影響しますが、機器の使用時間には直接関係しません。