スターリンクは、イーロン・マスク氏が率いるスペースXが開発・提供する衛星インターネットサービスです。従来の衛星通信とは異なり、低軌道上に多数の小型衛星を配置することで、高速・低遅延の通信を実現しています。
この記事では、スターリンクの概要、料金、速度などを徹底解説します。
スターリンクとは
スターリンクは、アメリカ合衆国の民間企業スペースXが開発・運用する衛星インターネットアクセスサービスです。
従来の衛星インターネットサービスとは異なり、低軌道上に多数の小型衛星を配置することで、高速・低遅延の通信を実現しています。
スターリンクの特徴
- 高速・低遅延: 光ファイバーと同等の通信速度と低遅延を実現
- 広範囲なエリア: 地球上のほぼ全域をカバー
- 設置が簡単: 専用の受信機を設置するだけで利用可能
- 災害に強い: 地上インフラに依存しないため、災害時でも通信可能
スターリンクの利用用途
- ブロードバンドインターネット: 固定回線や携帯電話の電波が届かない地域でのインターネット接続
- 企業向け: 企業ネットワークの構築
- 政府機関向け: 災害時の通信手段
- 船舶・航空機向け: 海上や空上でのインターネット接続
スターリンクと従来の衛星通信との比較
スターリンクは低軌道の周回衛星を使ったサービスです。
以前からある静止衛星を使ったサービスと比べると、高速低遅延が特徴です。
周回衛星 | 静止衛星 | |
---|---|---|
衛星の軌道 | 低軌道 (高度約550km) | 高軌道 (高度約36,000km) |
通信速度 | 高速 (下り最大220Mbps、上り最大25Mbps) | 低速 (下り最大10Mbps、上り最大1Mbps) |
遅延 | 低遅延 (約20ms) | 高遅延 (約500ms) |
その他 | 専用の受信機が必要 | 多くの場合、特別な受信機は不要 |
サービス | イリジウム スターリンク | インマルサット ワイドスター スラヤ |
スターリンクのエリア
スターリンクは中国、ロシアを除く地球の大部分のエリアで利用可能、もしくは提供予定になっています。
日本での展開状況
日本では2022年10月11日にスペースX社がサービス開始を発表しました。アジアでは日本が初のサービス展開国で、山間部や離島などの携帯の電波が届きにくい場所や、災害時の通信手段として期待されています。
Starlink が日本でのサービスを開始しました - アジアでは初めてのサービス国です → https://t.co/slZbTmHdml
— SpaceX (@SpaceX) October 10, 2022
また、法人向けのStarlink Businessは、2022年にKDDIがサービス開始して以降、携帯大手3キャリアにて提供されています。
- 2022年10月 KDDIが取扱開始
- 2023年9月 ソフトバンクが取扱開始
- 2023年12月 NTTドコモが取扱開始(販売はNTTコミュニケーションズ)
スターリンクの料金
日本でのスターリンク料金について説明します。
個人向け
スターリンク社直販の場合の料金は次の通りです。
一時金
ハードウェアの初期費用(受信用アンテナ+WiFiルータ)がかかります。
55,000円 (税込)
月額
自宅向けのレジデンシャルと、場所を移動して使えるROAMの2つがあります(免税)。
いずれも無制限のデータプランが含まれています。
プラン | 料金 |
---|---|
レジデンシャル | 6,600円 |
ROAM | 9,900円 |
法人向け
KDDIの法人向けのプランだと次の通りです。
一時金
431,750円 (税込)
月額
利用料金は大きく通信量に応じた料金(免税)と、サポートパック(税込・必須)の2つから構成されます。
ビジネス固定プラン | ビジネス移設プラン | |
---|---|---|
40GB | 17,000円 | – |
50GB | – | – |
1TB | 32,000円 | 145,000円 |
2TB | 63,000円 | – |
5GB | – | 725,000円 |
6TB | 189,000円 | – |
サポートパック | 33,000円 | 33,000円 |
※ 月間高速データ利用量が表で定める量を超えた場合、ビジネス固定プランにおける期待通信速度が下り25~100Mbps、上り5~10Mbpsに、ビジネス移設プランにおける期待通信速度が下り5~50Mbps、上り2~10Mbpsに、それぞれ制限されます。
料金プランは、利用目的やデータ容量、通信速度などによって異なります。詳細は、スターリンク公式サイトや各キャリアのサイトにてご確認ください。
スターリンクの速度
スターリンクの通信速度について、スペック値と実測値を見ていきましょう。
スペック値
スターリンクのスペック値(サービスとして期待される通信速度)は次のとおりです。
プランにより速度が異なり、ビジネスプランが比較的高速となっています。
プラン | 通信速度 | 備考 |
---|---|---|
レジデンシャル (個人自宅向けプラン) | 下り通信速度:20-100 Mbps 上り通信速度:5-15 Mbps | |
ROAM (個人向け移動プラン) | 下り通信速度:5-50 Mbps 上り通信速度:2-10 Mbps | |
ビジネスプラン | 下り通信速度:40-220 Mbps 上り通信速度:8-25 Mbps 遅延:25~50ms(ミリ秒) | 契約したデータ容量を超えた場合に速度が低下 |
実測値
直近3ヶ月に計測された64件のStarlinkの測定結果から平均値を計算しています(2024年2月15日時点)。
スペック値には及ばないものの、実用上は問題ないダウンロード速度が出ていることが分かります。
ただし、遅延が大きい点には注意が必要です。
スターリンク | 携帯キャリア | 光回線 | |
---|---|---|---|
ダウンロード速度 | 35.5Mbps | 110.9Mbps | 370.1Mbps |
アップロード速度 | 12.43Mbps | 21.6Mbps | 372.5Mbps |
遅延 | 233.02ms | 58.4ms | 27.2ms |
(引用元)みんなのネット回線速度
スターリンクのメリットデメリット
近年、注目を集めている衛星インターネットサービス「スターリンク」。イーロン・マスク氏が率いるSpaceXが開発・提供するこのサービスは、従来の衛星通信とは一線を画す高速・低遅延の通信を実現しています。
しかし、メリットばかりではありません。スターリンクのメリットとデメリットを解説します。
スターリンクのメリット
高速・低遅延の通信
スターリンクは、従来の衛星通信と比べて圧倒的に高速な通信速度と低遅延を実現しています。下り最大220Mbps、上り最大25Mbpsという速度は、3Gや4G開始時並みの性能です。
オンラインゲームや動画配信など、高速・低遅延の通信環境が求められる用途にもストレスなく利用できます。
範囲なエリアをカバー
スターリンクは、地球上のほぼ全域をカバーしています。光ファイバーやDSLなどの固定回線が利用できない地域でも、スターリンクを利用すれば高速・低遅延のインターネット接続が可能です。
山間部や離島、僻地など、これまでインターネット環境が整っていなかった地域にも恩恵をもたらします。
設置が簡単
スターリンクは、専用の受信機を設置するだけで簡単に利用できます。専門的な知識や技術は必要ありません。
工具も不要で、誰でも簡単に設置できます。
災害に強い
スターリンクは、地上インフラに依存しない衛星通信サービスです。そのため、地震や台風などの災害で地上インフラが被災しても、通信が途絶する可能性が低くなります。
災害時の通信手段として、重要な役割を果たします。
スターリンクのデメリット
料金が高い
スターリンクは、従来の衛星通信と比べて料金が高額です。月額7,480円からと、光ファイバーやDSLなどの固定回線よりも高額な料金設定となっています。
利用料金以外にも、初期費用として受信機購入費用や送料などがかかります。
専用の受信機が必要
スターリンクを利用するには、専用の受信機が必要です。この受信機は、購入する必要があります。
また、受信機は比較的大型で、設置場所を選ぶ必要があります。
電源が必要
スターリンクは、受信機に電力を供給する必要があります。停電時には利用できなくなります。
雨天や雪天など、天候によっては速度が低下する
スターリンクは、衛星通信を利用するため、天候の影響を受けやすいというデメリットがあります。
雨天や雪天など、悪天候時には通信速度が低下する可能性があります。