ノイズキャンセリング機能を備えたヘッドフォンやイヤホンは、周囲の騒音を減らして音楽や通話を楽しむことができる便利なデバイスです。
しかし、ノイズキャンセリングが耳に悪いのではないかと心配している人もいるようです。
結論をいうと、実はノイズキャンセリングは耳に悪くありません。むしろ周囲の騒音を軽減することで耳の負担を軽減してくれます。
本記事ではノイズキャンセリングの仕組みを紹介しながら次のような内容を解説します。
- ノイズキャンセリングの仕組み
- ノイズキャンセリングは耳に悪いのか、危険性はあるのか?
- ノイズキャンセリングイヤホンが疲れる理由
- イヤホン利用時の注意点
- おすすめのノイズキャンセリングイヤホン
ノイズキャンセリングは耳に悪い?危険性は?
まず結論です。ノイズキャンセルは耳に悪いと言うことはありませんので安心してください。
むしろWHOでは耳の健康を守るために、周囲の騒音を低減する「ノイズキャンセリング機能」のついたヘッドホン・イヤホンを選ぶことを推奨しています(参考:e-ヘルスネット・WHOの原文(英語)はこちら)
ここからは、耳に悪くないと言うことを理解いただくために、ノイズキャンセリングの仕組みを説明します。
よく分からないから不安と思っている人も、仕組みを知ると怪しいものではないと理解いただけるのではないでしょうか。
ノイズキャンセリングの仕組み
ノイズキャンセルにはパッシブノイズキャンセリングとアクティブノイズキャンセリングの2つがあります。
パッシブノイズキャンセリング
横文字でわかりづらいのですが、一言で言うと遮音性を高めてノイズを抑えることを指します。
空港や騒音現場で下図のような「イヤーマフ」をつけた人を見たことがあるかもしれませんが、これも耳を覆ってノイズを減らしています。
アクティブノイズキャンセリング
騒音を打ち消す音波を人工的に作り出しノイズを消す仕組みです。
人間の耳では、空気の振動(波)をうけて耳の鼓膜が振動し、音として感じることができます。
ノイズキャンセリングは、波の干渉という物理的な性質を利用し、騒音と逆位相(反対)の波を人工的に作り出すことで騒音を打ち消しています。
下図はノイズキャンセリングのイメージです(引用元:Anker)。
ちなみに、ノイズキャンセリングで高音が消しづらいのは、音の周波数の違いによります。
高い音は1秒間の音波が振動する回数が多く、低い音を消すよりも処理速度が要求される難しい処理となるためです。
人間の耳は概ね20Hzから20,000Hzの音が聞こえると言われています。
- 20Hz(低い音)……1秒間に20回振動する音波(キャンセルしやすい)
- 20,000Hz(高い音)……1秒間に2万回振動する音波(キャンセルしづらい)
ノイズキャンセリングの疲れる理由、利用時の注意点
ノイズキャンセリングは耳に悪くないと言う話をしましたが、疲れるという声もあります。
疲れる理由は特有の不自然さ
ノイズキャンセリングが疲れる理由として考えられるのは、ノイズキャンセリング特有の不自然さです。
また、イヤホン装着そのものも疲れる理由の1つです。
- 必ずしも全ての騒音を消し去るわけではない(低い音はキャンセルできるが、高い音は残りがち。サーというホワイトノイズが聞こえる場合もある)。
- 耳にヘッドホンやイヤホンを装着していること自体が不自然。
(イメージとしては、耳栓をつけていると音の聞こえ方が普段と変わり、違和感を感じるのと同じです) - イヤホンやヘッドホンの密閉性が高いため、耳が蒸れたり、痛くなったりすることがあります。
ノイズキャンセリングイヤホン利用時の注意点
イヤホン利用時の注意点は大きく2点あります。
- ノイズキャンセリング機能により騒音だけでなく外音が聞こえづらくなる
- 大音量での利用を避ける
それぞれ見ていきましょう。
騒音だけでなく外音が聞こえづらくなる。
ノイズキャンセリングイヤホンは、騒音だけでなく周囲の音が聞こえづらくなります。
運転中や自転車に乗るときなどの移動中は、周りの車や歩行者などの接近に気付きづらくなり、事故に巻き込まれるリスクがあります。
ノイズキャンセリング機能をオフにするか、外音取り込み機能を有効にして、周囲の音に注意しましょう。
大音量での利用を避ける
ヘッドホンやイヤホンを使い、大きな音量で音楽などを聞き続けると、音を伝える役割をしている有毛細胞が徐々に壊れてヘッドホン難聴(イヤホン難聴)になります。
1週間で80デジベル(こどもは75デジベル)の音を40時間以上でリスクが高まります。
ヘッドホンやイヤホンで、周りの音を気にせず音楽などを楽しんでいるとしたら、WHOが定める80dBを超えている可能性が高くなります(参考:NHK健康チャンネル)。
具体的な対策としては下記の内容を参考にしてみてください。
WHOでは、ヘッドホンやイヤホンで音楽などを聞くときには、耳の健康を守るために、以下のようなことを推奨しています。
- 音量を下げたり、連続して聞かずに休憩を挟んだりする
- 使用を1日1時間未満に制限する
- 周囲の騒音を低減する「ノイズキャンセリング機能」のついたヘッドホン・イヤホンを選ぶ
WHO Tips for safe listening-Make Listening Safe 2015.
引用元:ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について
おすすめノイズキャンセリングイヤホン
ここではおすすめのノイズキャンセリングイヤホンを紹介します。
いずれも人気の商品ばかりです!
【iPhoneユーザならこれ】 Apple Airpods Pro(第2世代)
Apple製のノイズキャンセリングイヤホンです。
おすすめポイントは下記です。デメリットは値段が少し高い点です(定価:39,800円)。
予算内であれば、iPhoneユーザはこれを買うと間違いなしです!最新モデルは接続端子がLightningからUSB-Cに変更となっています。
- Apple製品との親和性が高い(Apple製品での利用の場合機器の切り替え時にペアリング解除しなくても、操作中の機器へ自動切り替えができます。詳しくはApple公式サイトをご覧ください)
- 外音取り込み機能が非常に高性能
【音質ピカイチ】SONY WF-1000XM5
SONY製のノイズキャンセリングイヤホンです(参考価格:3万円台後半〜)。
音楽を楽しみたい人におすすめのイヤホンです。前作よりも本体が小さくなっており、装着感が向上しています。おすすめポイントは下記です。
- 高いノイズキャンセリング性能
- 音楽を聴く場合の音質が高い
- マルチポイント接続対応(2台の機器に同時接続)
【高コスパ】SONY WF-C700N
SONY製のノイズキャンセリングのエントリーモデルです。全体的にバランスの取れたイヤホンです。(参考価格:1.5〜2万円)。
おすすめポイントは下記です。全体的にバランスの取れたワイヤレスイヤホンで、ノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能、防水性能など、多くの機能が搭載されています。
- 値段と性能のバランスがよく、ノイズキャンセリングレベルは1万円台最強クラス
- コンパクトな本体およびケース
- 物理ボタン採用で誤動作が少ない
- マルチポイント接続対応予定(2台の機器に同時接続)
【通話におすすめ】Jabra Elite 4
150年以上も続いているデンマークのオーディオブランドです。ヘッドセットメーカとしても有名で、通話のマイク音質には定評があります。ビジネスユーザや予算を抑えたい人におすすめです(参考価格:1万円台前半)。
おすすめポイントは下記です。
- マイク性能が高い
- ボタンが物理ボタンで誤操作しづらい
- マルチポイント接続対応(2台の機器に同時接続)
まとめ|ノイズキャンセリングは耳に悪いどころか有益だった
ノイズキャンセリングは耳に悪いどころか、騒音から耳を守ってくれるありがたい機能です。
大きな音で失われた聴覚は元に戻りません。
電車(特に地下鉄)や周りの音が大きい場所で音楽を聴く場合には、ノイズキャンセリング機能をうまく活用して、適切な音量で聴くことがおすすめです。