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磁石に付く金属とは?種類と意外な活用法を解説!

テクノロジー

「あれ?この金属、磁石につかないんだ!」

そんな経験はありませんか?

磁石は、冷蔵庫のメモを固定したり、おもちゃに使ったり、私たちの生活の中で意外と身近な存在ですよね。でも、磁石にくっつく金属って、実は限られているって知ってました?

本記事では磁石に付く金属・付かない金属にはどのようなものがあるかを探ります。

磁石に付く金属の種類

磁石につく主な金属は以下の3種類です。

  • 鉄 (Fe)
  • コバルト (Co)
  • ニッケル (Ni)

磁石に付く金属

鉄は最も一般的な強磁性金属であり、建築材料や製造業で広く使用されています。鉄はその高い強度と耐久性から、さまざまな製品に利用されています。

ニッケル

ニッケルは、鉄と同様に強磁性を持ちます。主にステンレス鋼の合金として使用され、耐腐食性が求められる環境で役立ちます。

コバルト

コバルトは、耐熱性と耐摩耗性が高い金属で、特殊な合金や磁石自体の製造に使用されます。コバルトを含む合金は、高温環境でも磁性を維持する特性があります。

これらの金属は強磁性体と呼ばれ、磁石に強くくっつく性質を持っています。磁石を近づけると、これらの金属内部の「分子磁石」が同一方向に整列し、磁力が発生するため磁石にくっつきます。

磁石につかない金属

一方で、金属は磁石に付くと多くの人が思い込みがちですが、以下の金属は磁石につきません。

  • 金 (Au)
  • 銀 (Ag)
  • 銅 (Cu)
  • アルミニウム (Al)

ステンレスは、鉄、クロム、ニッケルの合金であるため、鉄の含有率によって磁石につくものとつかないものがあります。

※100円玉はニッケルを含む合金製ですが、鉄の含有率が低いため磁石にはつきません。

磁石につく金属は意外と少なく、むしろ磁石につかない金属の方が多いのが特徴です。

磁石に付かないステンレス
オーステナイト系:最も一般的なSUS304(18%クロム、8%ニッケル)を含む多くの種類が、通常は磁石に付きません。

磁石に付くステンレス
フェライト系:代表的なものはSUS430(18%クロム)です。磁性を持つため、磁石に付きます。
マルテンサイト系:SUS403、SUS410などの13%クロム系ステンレスが該当します。

金属が磁石に付く力の強さ

鉄、ニッケル、コバルトの磁石に付く力の強さを正確な数値で比較することは難しいですが、一般的な傾向として以下のように説明できます。

鉄(Fe)
鉄は最も一般的で強力な強磁性体の1つです。磁化の強さを表す飽和磁化の値は約2.2テスラ(T)です.

コバルト(Co)
コバルトは鉄に次いで強い磁性を示します。飽和磁化は約1.8テスラ(T)で、鉄よりもやや弱いですが、非常に強い磁性を持っています。

ニッケル(Ni)
ニッケルも強磁性体ですが、鉄やコバルトよりも磁性は弱くなります。飽和磁化は約0.6テスラ(T)程度です。

これらの数値を相対的な強さで表すと次のようになります。

鉄:100(基準)
コバルト:約82(鉄の約82%の強さ)
ニッケル:約27(鉄の約27%の強さ)

ただし、これらの値は純粋な元素の場合であり、実際の磁石や合金の磁性の強さは組成や製造方法によって大きく変わる可能性があります。また、温度や外部磁場の強さなどの条件によっても変化します。

磁石に付く力の強さは、これらの金属の磁化の強さだけでなく、物質の形状や大きさ、磁石との距離なども影響します。そのため、実際の応用では、これらの要因も考慮する必要があります。

なぜ鉄などの金属は磁石に付くの?

金属が磁石につく理由とつかない理由は、その金属の原子構造と電子配置に関係しています。

磁石にくっつく金属の原子内では、電子スピン(電子の自転のような動き)が同じ方向に揃っています。これらの電子スピンが小さな磁石のように働き、全体として大きな磁力を生み出すため、磁石に引き寄せられます

磁石にくっつかない金属では、電子スピンがバラバラな方向を向いています。このため、それぞれの電子の磁力が打ち消し合い、全体としては磁石としての性質を示しません。

原子核の周りを回る電子の軌道や、電子同士の相互作用によって、電子のスピンが特定の方向を向きやすくなります。特に、遷移金属と呼ばれる鉄、ニッケル、コバルトなどの元素では、電子のスピンが同じ方向に揃いやすい電子軌道が存在するため、強磁性体となります。

この図では、矢印は電子のスピンを表しています。

強磁性体では外部磁場(N極とS極)に応じてスピンが整列しますが、非強磁性体ではスピンが相殺し合い、全体として磁性を示しません。

磁石につく金属と磁石につかない金属の違いは、主にこの原子レベルでの電子の振る舞いの違いによって生じます。

磁石の活用シーン

磁石(磁気)は私たちの生活の中で様々な場面で利用されています。

具体的な活用シーンをご紹介します。

磁石の身近な活用シーン

まずは、日常生活の中で見かける磁石の活用例から見ていきましょう。

  • 冷蔵庫やホワイトボードのマグネット
    メモや写真を貼るのに欠かせないマグネット。強力なネオジム磁石が使われているものもあります。
  • スマートフォンのケース
    手帳型ケースの留め具や、マグネット式の充電ケーブルにも磁石が使われています。
  • イヤホンやスピーカー
    音質を左右する重要な部品として、磁石が活躍しています。
  • ドアストッパーやキャビネットの留め具
    開閉をスムーズにするために、磁石の力を利用しています。
  • おもちゃやゲーム
    ブロック玩具やボードゲームなど、様々な遊びの中で磁石が活躍しています。

知られざる工業製品での活用

実は、工業製品の中にも磁石はたくさん隠れています。

  • モーター
    家電製品や自動車など、私たちの生活を支える多くの製品に組み込まれています。
  • 発電機
    風力発電や水力発電など、再生可能エネルギーの分野でも磁石が重要な役割を果たしています。
  • ハードディスク
    パソコンやサーバーに欠かせないデータ保存装置にも、磁石が利用されています。
  • 医療機器
    MRI(磁気共鳴画像診断装置)は、強力な磁場を利用して体内の状態を画像化します。

最新技術における磁石の活躍

磁石は、最先端の技術開発にも貢献しています。

  • リニアモーターカー
    磁石の力で浮上し、高速走行を実現する夢の乗り物です。
  • 磁気浮上式鉄道
    リニアモーターカーの技術を応用した、次世代の鉄道システムです。
  • 磁気冷凍技術
    環境に優しく、高効率な冷却技術として期待されています。
  • 磁気センサー
    スマートフォンや自動車など、様々な機器に搭載されています。
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